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難読地名の地を訪ねて Part5

 
■県内を移動していると、なんと読むのかわからない地名に遭遇することがある。皆様は「この地名、なんと読むのだろう」と思ったことはないだろうか?
■地名には、読み方が分からず、首をかしげてしまう名前があるもの。そこで編集部では県内にはどんな地名があるのだろうかと調べてみた。
■県民なら誰でも知っていると思える市の名前にも、他県の人には読めないものもある。例えば「狭山市」。これはだれでも「さやま」と読めるのだが、他県には読めない人が沢山いた。
■今回は難読地名の5回目。字名、あるいは町名などの中から読みにくい場所を選んで特集してみた。あなたはいくつ読めるだろうか?

槐戸の藤助河岸跡

 

槐戸(草加市)

 「槐戸」の読み方は「さいかちど」だ。現在この町名はなくなってしまっており、この周辺の地名は旭、八幡町、弁天などとなっている。現在は「槐戸橋」「槐戸八幡神社」「槐戸入口バス停」などの名称として残っている。なお「さいかち」という名の植物もある。
 「槐」は1文字で「さいかち」と読むが、この地名は全国にも何カ所かある。文字は「梍」と書いて「さいかち」と読ませる地域が岩手県雫石町にあるほか、秋田県能代市にもある。さらに草加市と全く同じように「槐戸」という地名が東京都台東区にあった。
■槐戸橋
 さて、草加市の場合はまず旭町にある槐戸橋を訪ねてみよう。綾瀬川に架かる橋なのですぐにわかるだろう。あの草加松原に近い橋だ。近くには藤助河岸の跡がある。江戸時代中頃に高橋藤助による創立で、綾瀬川の舟運が盛んだった。そのほか槐戸八幡神社や槐戸入口バス停にも訪ねてみよう。近くには「そうか公園」もある。
槐戸橋/旭1丁目
槐戸八幡神社/八幡町1107・2
槐戸入口/弁天6・8
そうか公園/柿木町272・1

槐戸橋

 

 
 

男衾(寄居町)

 「衾」というのは平安時代の寝具の一種。 現在の掛け布団のようなものだという。「男衾」は「小被」とも書いて「おぶすま」と読むのだが、元々はこのあたりにあった小被神社が名前の由来。そこから男衾郡となり、その後大里郡男衾村となった。現在は寄居町で男衾駅や男衾自然公園、男衾郵便局などに名前が残されている。
■男衾自然公園
 平成23年に数十年間放置された里山を地元の有志がボランティア団体「男衾自然公園管理組合」を作り運営している。広い駐車場があるので車でも行けるが、一方通行で行きと帰りは違う道となる。4月上旬には桜祭りが開催される。
所在地/大里郡寄居町富田
管理組合電話/090(3903)2022
■おぶすまトンボの里
 トンボ公園を作る会が設置した公園。園内には7つの池があり、木道で散策できる。
所在地/寄居町大字牟礼
■常楽寺
 寄居七福神の1つで恵比寿神。
所在地/寄居町赤浜860
電話/048(582)0303
■不動寺
 板碑は町の文化財指定。七福神では寿老人。
所在地/富田2024
電話/(582)1387

男衾自然公園

 

名細(川越市)

 川越市の「名細」もこの名の町名が残っているわけではない。かつては入間郡に属していた名細村があったそうだ。しかし名細地区の様々な施設などに「名細」の名前が残されている。読み方は「なぐわし」だ。なお名細エリアの町名は現在、鯨井、上戸、平塚など10町名あまりだろう。
■なぐわし公園
 小畦川にそったエリアにある広い公園。子供の遊具などもあるが、園内にある健康運動施設「ピコア」は立派なもので温水プールやトレーニングルーム、スタジオ、多目的ホール、会議室などのほかお風呂やレストランもある。
所在地/鯨井1216
電話/049(239)0315
■河越館跡
 平安時代末から南北朝時代にかけて武蔵国で有数の勢力を誇った武士である河越氏の居館跡で、国の史跡に指定されている。一角に常楽寺がある。
所在地/上戸195ほか
電話/049(224)6097(川越市文化財担当)
■青林寺
 創建年代等は不詳だが、長福寺第6世實州全榮大和尚の開山といわれている。
所在地/鯨井1350
電話/(231)2221

名細公園

 

牛重(加須市)

 「牛重」は現在も加須市の町名として残っている。郵便番号は347・0103だ。ここはもともと騎西町だったが加須市に合併されたために現在は加須市牛重。「うしがさね」と読む。
■騎西城
 牛重のすぐ脇には騎西城跡がある。土塁跡もわずかに残されている。その武家屋敷や足軽町跡が牛重にあったそうだが、現在、建物は残っていない。なお本来の騎西城は平屋の城だったが天守閣を持つ城として復元されている。
所在地/根古屋633・2
電話/0480(73)3101
■妙光寺
 かつては上種足村(現加須市上種足)にあった寺。日英(応永30年1423年寂)が開山した日蓮宗の寺。
所在地/牛重1713
電話/0480(73)3102
■油井ヶ島沼
 かつては広い範囲が油井ヶ島沼で一帯は沼沢地。現在はコンクリート護岸がなされ、ため池や調節池として利用されている。
所在地/加須市油井ヶ島

騎西城

 

栢山(久喜市)

 平安時代から鎌倉時代にかけて、武蔵七党の栢山氏が拠点としていたことから地名が生まれたと考えられる。読みは「かやま」だ。なお栢山氏は「萱間氏」ともいわれている。
 さらに遡り、縄文時代後期の土器も見つかっていることから、かなり古くから人々が住み着いていた場所だと思われている。なお栢山村は昭和29年に当時の菖蒲町に併合されたために今は町名とはなっていない。
■栢山小学校と道路元標
 道路元標は道路の起点を示すもの。栢山の道路元標は栢山小学校の正門横にあった。高さ59センチ程度なのでそれほど大きなものではない。なお、栢山小学校がある場所は江戸時代にこの地域を治めていた内藤氏の陣屋の跡地だ。
所在地/久喜市菖蒲町下栢間2720
■善宗寺
 延喜年間(901~923年)に開山された浄土宗の寺。この地を領有することになった内藤氏十四代の宝篋印塔が残されている。
所在地/下栢間2639
電話/0480(58)1111(久喜市役所)
■弁天沼と栢山沼
 弁天沼は県道12号線沿いに、栢山沼は圏央道菖蒲パーキングエリアの近くにある。どちらも太陽光発電パネルが沼全体を覆ってしまったためにかつての風情は感じられない。ちょっと残念に感じた。
■神明社
 神明社の社叢は1.7ヘクタール以上の広さがあり、550メートル続く参道は圧巻だ。参道の始まる部分には駐車場完備の鎮守の森公園もある。神明社の社叢は県の天然記念物。またここから天王山塚古墳も近い。
所在地/上栢間3366
■天皇山塚古墳
 栢間古墳群の中でも目につくのが、県内屈指の規模を誇るこの前方後円墳だ。鎮守の森公園からすぐだ。
所在地/上栢間3284

神明社