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対 談

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お茶の矢島園代表取締役矢嶋紀朗氏

お茶を使って様々な活動を

角田 今年もあっという間に5月号の編集に入りました。時期的に新茶の季節です。そこで今月は矢嶋さんにお茶にまつわるお話しをして頂こうと思います。
矢嶋 わかりました。よろしくお願いします。
角田 矢嶋さんとはかなり昔に対談をしたことがありました。でも、今の読者の方は知らないと思いますので、再びお願い致します。ご出身はどちらでしたっけ。
矢嶋 福島なんですよ。弱電関係の仕事をしていました。松下系のね。
角田 電気関係でしたか。お茶とは無縁ですね。それで上尾に来られたきっかけというのは?
矢嶋 結婚ですね。それがきっかけです。
角田 なるほどね。上尾に来られてからお茶の仕事に携わるようになったんですね。
矢嶋 そういうことです。当時、荒川にそって上尾にも茶畑がありました。そんなことでこの仕事に入るようになったんです。
角田 それは狭山茶とは違うものですか?
矢嶋 いや狭山茶です。狭山茶の早場所っていわれていたんです。早く芽が育つのでこのように言われていましたね。
角田 なるほど、早く育つ場所だから早場所ですね。
矢嶋 そうです。狭山茶だけでなく、例えば鹿児島なら鹿屋、静岡なら御前崎あたりが早場ですね。
角田 それが狭山茶ですと上尾あたりということですね。
矢嶋 そうそう、この川沿いですね。このあたりのお茶はかなり良いものでしたね。昔は多くのお茶農家がありましたが、公団の団地や住宅などがたくさん出来て、だんだん離れていく農家が出てきました。
角田 それですと、茶畑も減少していくんですかね。
矢嶋 はじめは私共の茶畑と、地元のお茶で仕事をしていたんですが、農家が減っていくと、私共の畑だけでは足りなくなりました。そこで、狭山や入間のお茶農家ともお付き合いをするようになって、仕事が広がっていきました。
角田 矢嶋さんが現在のように大きく育てていかれたわけですね。それで本場の狭山茶を積極的に扱うようになったんですね。
矢嶋 そんな感じですかね。さらに静岡に行ったり鹿児島に行ったりしています。
角田 今現在は上尾に畑はなくなってしまったんですか。
矢嶋 いやいや、ありますよ。工場の前にもありますし。
角田 そうなんですね。
矢嶋 素晴らしい。まだあちこちにありますから。そこで、勉強に来られる方も多くいらっしゃいます。一般の方も多いですよ。
角田 一般と言いますと?
矢嶋 茶摘み体験をしたりね。いま埼玉新聞でいろいろな企画をやっているんです。子どもさんなどでグループを作ってやってます。今年も5月の中旬に行う予定です。
角田 楽しそうですね。
矢嶋 手摘みをやって、それを天ぷらで揚げたり、あるいは手もみをしたりね。
角田 ところで矢嶋さんが初めてお茶の仕事に携わってから何年になるんでしょうね。相当長いとは思いますが…。
矢嶋 う〜ん、50年にはなるかな。
角田 武州路を創刊したのが昭和48年です。今年の8月号が丁度通巻600号になります。ということは50年です。その時すでに矢島園さんは会員店でしたよ。
矢嶋 ということは50年以上ですね。そうだ、昭和43年に結婚してすぐにお茶の仕事を始めたんです。
角田 矢島園さんが業務をはじめて5年後に武州路の会員店になっていただいたんですね。ずいぶん昔ですね。早いものです。
矢嶋 年取るわけだ(笑)
角田 私が初めて矢島園さんにお邪魔したときは20代だったと思います。
矢嶋 まだ大学生だったでしょ?
角田 そうでした(笑)。
矢嶋 覚えていますよ。
角田 本当に年月の経過は速いものです。ところで最近の矢島園さんのホームページを拝見しますと、狭山茶を使ったスイーツなどの記述がありますが、あれはどういったものなんですか。
矢嶋 狭山茶のお抹茶は今まであまり普及していなかったし、やっていなかったんです。それを私共の工場で粉砕したりします。私共のお抹茶は色の変化しにくいお抹茶なんです。それをお菓子の製造メーカーさんにお願いして、私共のお抹茶を使って作ってもらっているんです。
角田 そのスイーツはお菓子のメーカーさんが販売するんでしょうけど、矢島園さんで購入することも出来るんですか。
矢嶋 もちろん私共でも販売しています。
角田 それはいいですね。
矢嶋 このお抹茶を使って作ったお菓子はいろいろな展示会に出したりして、けっこう賞を頂いていますね。
角田 そのように矢島園さんの抹茶を使ってお菓子を作るというのは矢嶋さんの発案なんですか。
矢嶋 はい、私が発案をして始めたものです。
角田 その経緯は?
矢嶋 本来は東京オリンピックで大きく羽ばたこうという考えだったんです。ところがコロナの影響で1年延期になりました。翌年に開催したとしても外国人のお客さんを呼ばなかった。これは大きな誤算です。
角田 なるほど…。
矢嶋 それでお菓子メーカーが新しいお菓子を作るのを辞めてしまいました。でも外国人にとってお抹茶というのは非常に人気があるんです。
角田 つまり、そのような経緯で菓子メーカーの動きが沈滞したために矢嶋さんがこのようなお菓子を作ってはどうかと提案されたということですか。
矢嶋 そうですね。
角田 菓子メーカーさんも喜ばれたでしょうね。新しい動きが始まったんですから。
矢嶋 はい、喜んでいただきました。
角田 そのお菓子メーカーさんのルートだけでなく、矢島園さんの店舗でも販売出来るのですから、お互いに良いことですよね。
矢嶋 そうですね(笑)
角田 さて、話は変わりますが、お茶と言えば日本の3大茶どころと言われている3つのお茶がありますよね。もちろんその1つは狭山茶ですが…。
矢嶋 あとは宇治、静岡ですね。ところがね、今では鹿児島が凄いんです。
角田 ほう、鹿児島茶ですか。
矢嶋 はい、今は鹿児島がトップになりました。3つの茶どころを追い抜いてしまったんです。
角田 びっくりですね。
矢嶋 私は45年くらい前から鹿児島に行ってお茶の指導をしてきました。それまでは、それこそ産地などというものではなかったですね。畑は若干あったんですが商売にはならなかったんです。
角田 というのは?
矢嶋 技術が悪くてね。でも茶畑はとても良い畑だったんです。元々良い茶畑でしたから一気に抜いていきました。今や日本一です。
角田 矢嶋さんが教えちゃうから(笑)
矢嶋 農家であり、工場を持っていながら技術が悪くてよい製品を作れなかったんです。で、茶師という人達がいましてね、彼らは形さえ良ければいいという考えでした。でも関東では飲んでうまいというのが重要でしたね。形や見た目は良くてもうまくないのではダメですよ。
角田 確かにね、飲んでうまくなければダメですよね。
矢嶋 はい。だからこれはもったいないなあと感じました。それで指導に入ったわけです。そのお茶を買ってきましてね、私はもともと弱電関係の仕事の経験があったものですから、それを活かして何とかしたいと思いました。
角田 それで何をされたんですか。
矢嶋 冷凍したものを一気に電子レンジにかけますとね、大きな変化が起こります。これを利用したらどうだろうと考えました。
角田 つまりお茶を電子レンジにかけた?
矢嶋 はい。形のいいお茶というのはどうしても苦みが強いんです。そこで思いっきり冷やしておいてレンジにかけますと、味がバカになるんです。
角田 バカになるって…。
矢嶋 味が薄くなるんです。苦みが消えていくんです。これね、例えば魚の場合にやると生臭い匂いになるんですが、お茶の場合は香りはそのまま残ってもらって、良い香りになります。これを鹿児島の経団連さんに紹介しました。よい畑を持っているんですから何とかしたいと思いました。で、もみ方に力を入れるとか蒸しかたを考えるとか、様々な試みを行いました。
角田 その甲斐あって鹿児島のお茶が評判になったんですね。
矢嶋 最初は1つの工場でしか出来なかったんですが、最終的には8工場でグループを作りました。そこに静岡のお茶の経営者や私が出向きました。鹿児島と静岡では1ヵ月くらいずれるんですね。ですから最初は鹿児島で揉んでもらって、こっちがそろそろという頃には帰ってくるんです。
角田 鹿児島のお茶は矢嶋さんのおかげだ(笑)
矢嶋 少し前まではそのことはみんな知ってくれていたんですがね、いまはすっかり若手になりまして、そういった経緯を知らない人が増えました(笑)
角田 そういうものでしょうかね。
矢嶋 全国版で出ているお茶の月刊誌があるんですが、何年か前にそれに鹿児島の人が「静岡茶は現在有名だけど、いまに鹿児島茶が日本一になる」みたいなことを書いたんです。私だけでなく静岡のお世話になって発展してきたのにと静岡から叱られました(笑)
角田 そのような希望があったんでしょうね。
矢嶋 ところがそれが現実になってしまいました。去年かな、1位になりましたから。技術もさることながら生産量で完全に負けました。畑の長さがすごいんです。
角田 ほう…。
矢嶋 静岡は段々畑でしょ。それもあって若い人が跡を継がないんです。ところが鹿児島は広い畑に共同の工場を持っています。国の予算を頂いて山を削って平らな畑を作ります。
角田 なるほど。
矢嶋 埼玉だって1本の畑の長さはせいぜい100メートルくらいですよね。ところが鹿児島では200メートル、300メートルですよ。それを茶刈機に乗って運転して茶摘みします。戻って来たらそのままトラックに載せるだけ。完全な機械化ですよ。
角田 壮観ですね。
矢嶋 ぜんぜんスケールが違います。とにかく茶畑も綺麗です。
角田 一度見てみたいものですね。さて、そろそろ新茶の季節になりますが、矢島園さんではいつ頃から新茶の販売が始まりますか。
矢嶋 今のところ4月の28日を予定しています。でももう少し早くなるかもしれないですね。25日とか。
角田 武州路のこの号の発行が4月20日からですので、発行後すぐの感じですね。新茶が出ましたらぜひ楽しみたいと思います。
矢嶋 もう新茶は入り始めていますが、まだ納得出来ていないので、その頃までかかりますね。
角田 そうですか。ところでご自宅に素敵なバラ園をお作りですね。そろそろ花の季節でしょうね。
矢嶋 はい、もうすぐですね。
角田 あのバラ園、お客さんに来て頂いて狭山茶とお菓子を頂けるようにしたら楽しいかも(笑)。
矢嶋 私共1軒だけではちょっとね。周辺の皆様が同じように花を飾って、オープンガーデンにでもできれば可能ですけどね。
角田 そうかもしれないですね。将来そのようになれたらいいですねと期待しておきます(笑)。本日はお忙しいところをありがとうございました。