編集者の椅子
★月刊武州路の編集長が過去から現在まで月刊武州路に掲載してきたバックナンバーの編集者の椅子に加えて、新しく現在思っていることを取り混ぜて書いていきたいと思います。
自転車への青切符ルール発表 新掲載記事(2026年1月22日)
4月から発足する自転車の交通違反に対する青切符制度のルールブックが警察庁から発表された。自転車も車である以上、道路交通法に従うのは当然なのだが、今までその違反を違反と感じていない人たちがあまりにも多く、自転車の違反が常態化していた。しかしこれを全て取り締まってしまったら自動車のような反則金制度(青切符)がなかったので全て赤切符で取り締まらなければならなかった。赤切符で取り締まられた場合は全て罰金の対象となり前科が付いてしまう。そのため警察としても自転車への取締りは消極的にならざるを得なかった。
今回、4月1日からは自転車にも青切符制度が発足するために摘発しても前科者を作らずに済むことから自転車の違反に対しても積極的な取締りが行われることになった。その違反の内容は全部で113の違反として決められている。
青切符の対象となる主な反則行為は、携帯電話使用等(保持)、信号無視、歩道走行などがあり、反則金は3000円~1万2000円となっている。しかしこれらについては、原則として即検挙とはならず、まずは指導警告がされるそうだ。このときに素直に従えばいきなり青切符が切られることはないという。
ただし、即青切符が切られる違反も同時に発表された。それは、ながらスマホ運転、信号無視、遮断機の下りはじめた踏切への進入、ブレーキのない自転車やブレーキが故障した自転車の運転、歩道を通行したときに歩行者を驚かせたり立ち止まらせたりする行為だ。
もちろん酒酔いや酒気帯び運転は青切符ではなく、今まで通り刑事罰の対象となる赤切符が適用される。自転車だからと言って交通規則を守らない運転は厳につつしみたいもの。なお自動車の運転免許を持っている人が自転車で青切符を切られたとしても自動車の免許に減点がつくことはないそうだが、特に悪質な場合には半年を超えない範囲で免許の停止となることはあるそうだ。
ますます巧妙化する特殊詐欺 令和7年10月号(No.626)掲載
埼玉県における今年7月末現在の特殊詐欺被害額は44億6千万円に達している。昨年1年間の総額は53億8千万円だったことを考えると、今年は簡単に昨年の被害額を超えてしまうだろう。
テレビなどではことあるごとに特殊詐欺の方法や手口を詳しく説明している。これでもかこれでもかと言うほどだ。それにもかかわらず簡単に詐欺に引っかかってしまうのはどうしたことだろう。
特殊詐欺と言っても様々なものがある。昔からの「オレオレ詐欺」と言ったようなものは主に高齢者が被害者になったが、最近では若者や壮年者などがだまされる詐欺も多い。主にインターネットやSNSにかかわる詐欺だ。その内容はアダルトサイトの料金が未納といったようなものが多い。また壮年層に多いのはロマンス詐欺というものだそうだ。これらは恥ずかしくて他人に相談しずらい傾向があり、1人で何とかしようとして被害にあうのだと警察では説明している。
さらにインターネットサイトで実在の銀行やクレジット会社そっくりのメールやホームページを表示させるフィッシング詐欺もある。最近では金融会社だけでなく、様々な会社のホームページもあるから困る。
そういう筆者も偽クレジット会社のメールにだまされる寸前まで行った。毎月、使っているクレジット会社では今月の支払額をメールで教えてくれていたのだが、その中に偽のメールが混ざっていた。その出来映えは本物そっくり。内容を確認するにはココをクリック」とあった。その結果、本物とは違うページに誘導されたのだ。だが良く出来ていると思ったのは、それ以外のボタンをクリックするとわざわざ本物のサイトに飛ぶことだ。筆者の場合、メールのどこかにアカウントの数字が小さく表示されているのだが、その違いに気づいて被害を受けずに済んだ。
ますます巧妙化していく特殊詐欺だが、未だにキャッシュカードやパスワードを教えてしまう初期型特殊詐欺にだまされる高齢者も多いという。カードやパスワードを他人に渡してはいけないのは当然のこと。例え相手が警察官や銀行員を名乗ってもダメだと言うことを肝に銘じて欲しい。
自転車文化の破壊ってなに? 令和7年11月号(No.627)掲載
スマートホンでSNSの投稿を何とはなしに眺めていたら、自転車が走る映像と共に興味深い投稿があるのを見つけた。それは来年春から自転車の交通違反に対して青切符が切られることに反対する投稿だった。内容は概ね次の通りだった。
①スマホを見ながら自転車の運転をすると反則金1万2千円を取られる。
②信号無視は6千円。③右側通行も6千円。④一時停止場所で止まらなかったら5千円。⑤イヤホンを聞きながらも5千円。⑥傘さし運転も5千円。⑦無灯火も5千円。⑧併走や二人乗りは3千円。
こんなになんでもかんでも反則金を取られるならもはや自転車の運転なんて出来ない。こんなことを気にすることなく走れるから便利だったのにこれでは自転車文化の破壊だ。絶対に許せない。というものだった。
皆さんはこの書き込みを見てどのように思われるだろうか。この書き込みには読んだ人の感想も書き込めるようになっていたので、そっちも読んでみた。その書き込みの多くは次のようなものだった。
①そんなの車は皆守っているぞ。そんなんで文化破壊なんておこがましい。それだけ自転車乗りは無法だったてことだろう。
②そんなこと言ってるから車から見たら自転車が怖くて仕方ないんだよ。
③それだけ多くの違反をしながら走ってるのが自転車ってことだね。
④いい加減、自転車が交通ルールを守らずに勝手な走り方をしていることに気づけよ。
などで、同調する書き込みはごくわずかしかなかったのが救いだった。
もう10年も前に、この欄で自転車の交通違反の多さに驚かされるというような記事を書いたことがあったが、その時も読者から「自転車の交通違反を言う前に車の違反をどうにかしろ。車の方が無謀な違反が多いだろう。」というような投書を頂いたことがある。確かに車の違反にも酷いものがあるのは事実だ。しかし少なくとも信号は守っているし、一時停止場所では止まる。一部の高齢者の逆送が話題に上りはするが、ほとんどの車は逆送もしない。自転車の交通ルールを徹底することは重要だと思うのだが…。
毎日毎日事故を起こす高齢者? 令和7年7月号(No.623)掲載
「毎日毎日高齢ドライバーが事故を起こす。高齢者は脳機能も身体機能も低下している状態、つまり飲んでなくても飲酒運転に近い。
年齢で免許を回収できないなら、高齢者の免許更新は、免許取得と同等の実技と学科試験を導入して欲しい。何度でも再チャレンジできる認知機能検査では事故は増える。」
これはある高齢者がアクセルとブレーキを間違えて事故を起こしたというニュースに関して投稿された文章だ。この投稿者が言っていることはかなりメチャクチャだが、後半部分については理解できる。確かに何度でも再チャレンジできる認知機能検査では意味がないだろう。
そこである損害保険会社が交通事故の実態を調査して発表しているのでそれを紹介しよう。
この調査では免許保有者10万人当たりの第1当事者の交通事故件数を比較している。第1当事者とはその交通事故の原因を作った当事者と言うことだ。つまり最も過失の重い当事者と言うことになる。
さて、この調査によれば最も事故件数が多かったのは16歳〜19歳の976件、次いで20歳〜24歳の551件、さらに25歳〜29歳の399件となっていた。では高齢者はどうだったのだろう。65歳〜69歳では290件、70歳〜74歳が329件、75歳〜79歳でも358件と若者よりも少数だった。高齢者で最も件数が多かったのはやはり85歳以上だが、それでも496件だった。
この結果から分かることは件の投稿者が言うように「毎日毎日高齢ドライバーが事故を起こす」という言い方は正しく物事を捉えているとは言えない。交通事故は確かに毎日発生してはいるが、それは全ての年齢層による交通事故の総数であり、むしろ高齢者の起こす事故件数は若者よりも低い。このことから保険金の額は若者の方が高額になっているのだ。
では何故、高齢者の事故が多いように感じるのか。それは新聞やテレビなどのメディアが高齢者の交通事故ばかりを報道するからなのだと調査した学者が答えていた。但し高齢者の身体機能は間違いなく低下しているのでそのための検査やテストが必要なことに間違いはないだろう。
富士山の救援有料化を考えよう 令和7年6月号(No.622)掲載
埼玉県内の各地に「富士見」と名の付く坂道はたくさんある。そればかりか「富士見市」という市まであるのだ。それほどに富士山という山は日本人の心に深く刻まれている。春夏秋冬、それぞれの美しさを見せてくれる富士山だ。筆者は真っ白な雪をかぶった冬の富士山を眺めるのが好きだ。あとは赤く染まった赤富士もいい。
そんな富士山が最近大きな話題を与えている。閉山後の富士山で道を閉じたバリケードを突破して登山をする外国人が後を絶たない。しかも短パンという信じられ名恰好でだ。冬の富士山は非常に危険だ。山のレベルで言えばそれこそヒマラヤ登山をするレベルなのだ。事実、ヒマラヤを目指している山岳団体は冬の富士山で練習を積んだりもする。
閉山というのはあくまでも管理者が決めたものであり、法律ではない。基本的に山は自由に登れるものだから経験を積んだベテランの登山家集団なら山域に入ることは許されている。それでも綿密な登山計画が必要なのだ。そんな富士山に何の経験もない外国人が軽装で入っていっては遭難するのが当然だ。冬の富士山は巨大な雪の滑り台だ。滑落したらひとたまりもない。
そんな無責任な登山者のために救援依頼があったら救助隊が助けに行く。これだって命がけだ。ましてヘリコプターを使えば相当な費用がかかる。それは税金から支出することになる。
何年か前に県内の山で遭難者を助けようとしてヘリコプターが出動したが難しい救援だったためにヘリが墜落し乗員が死亡した。そこで埼玉県ではヘリを出した場合は有料にしたのだ。現在では5分間で8千円という金額だ。これまで有料の出動は34件あり、徴収した金額は217万6千円だった。これを1件あたりに換算すると平均40分の出動ということになる。これだけ徴収しても実際にかかる費用の一部でしかないが登山者に安易な気持ちで山に入らないようにというアピールにはなるのだろう。
今後は山梨県と静岡県でも登山する人にいい加減な気持ちを持たせないためにもヘリを出した場合の有料化を考えるべきだろう。それは当然のことのように思えるのだ。
日本の食糧安全保障が心配 令和7年5月号(No.621)掲載
昨今は米の価格上昇がニュースの話題になっているが、それとは別に米農家の数について調べてみた。
それによると1965年における水稲収穫農家の数は488万5千戸あったのが2015年には約94万戸にまで減少してしまった。この間には当然国の減反政策によって離農した農家もあったかもしれない。しかしこの減少率は恐ろしく感じないだろうか。2015年から10年経過した今年はもっと少なくなっているだろう。
また1960年代の米専業の人口は1千万人を超えていたが今年は110万人と10分の1になったとの調査もある。しかも現在の米専業者の平均年齢は69歳で、しかも後継者がいないという人がほとんどだそうだ。ある農家の人は「息子に農業を継いで欲しいとは言えない」と言うのだ。所得も低く、今後は農業で食べていけるか不安でしかないからだ。
世界の食糧自給率をカロリーベースで比較した調査もある。それによると最も優秀だったのはオーストラリアで174%、第2位はカナダの168%だ。以下アメリカ124%、フランス111%と続く。日本は驚くことにわずか39%だった。日本は食料の60%以上を輸入に頼っていたのだ。
世界の人口はどんどん増えている。その加速度には目を見張るものがある。今から40年ほど前の世界人口は約35億人と記憶しているが、2025年は82億人、2050年には100億人にせまるそうだ。それに反して食料の耕作面積は減少していく。その上、異常気象も頻繁に起こるようになった場合には食糧不足が世界中を覆うのではないだろうか。こうなると、世界のどの国も自国民に食べさせるだけの食料を生産するのが精一杯で、輸出するだけの余力はなくなっていくだろう。その時、食料の大半を輸入に頼っていた日本がどうなるのか、考える必要もないほど明白だ。
食料安全保障という言葉が生まれた。安全保障は武力だけの話ではないのだ。今このときに将来の食糧難を考えて、行動を起こさないと日本は大変なことになるのではないだろうか。真剣に考えてみなければならない問題だろう。