由布 隆

NPO法人埼玉映画ネットワーク理事

映画の素晴らしさを紹介…

 

  • 角田 由布さんはNPO法人埼玉映画ネットワークの理事ということですが、どのような活動をしているんですか。

    由布 今は埼玉会館や、彩の国さいたま芸術劇場などで映画の上映会を開催したり、サポート事業ということで、映画会を行いたいという主催者がいた場合にそのサポートをしています。

    角田 例えばどこかの団体や企業などが上映会をしたいと企画した時に、映画の手配など様々なサポートをするというように考えていいのでしょうか。

    由布 そうですね。団体もありますが、行政、例えば市町村や市民会館のようなところが映画祭をやりたいというような時にサポートすることが多いですね。そのような時に会議の段階から入ってコーディネートします。

    角田 彩の国さいたま芸術劇場や埼玉会館では、どのくらいの期間上映しているんですか。

    由布 これは「彩の国シネマスタジオ」という名称で行っていますが、芸術劇場では月に5日間、埼玉会館では同じく1日か2日ですね。

    角田 なるほど、1ヶ月の間ずっと上映している訳ではないんですね。ところでこの団体はいつ頃設立されたんですか。

    由布 団体自体は2002年7月に発足しました。で、2003年12月からNPO団体になりました。さらに2005年から埼玉県の芸術振興財団と提携しまして彩の国さいたま芸術劇場での定期映画会がスタートしたんです。

    角田 うん、まあ、映画会を開催するって言ってしまえば簡単な事ですが、実際問題として、これをやっていくには相当困難なこともありますよね。

    由布 そうですね。立ち上げの段階から関わっていた理事長や理事たちは相当な苦労をしたはずです。

    角田 ところで、由布さんがこの団体に入ったのはいつ頃だったんですか。

    由布 僕が入ったのは2014年です。最初からいた人達はそれこそ映画大好きですし、映画にものすごい情熱を持っている人達なんです。でも映画に入れ込みすぎている部分もあるので経営的にはちょっと苦しかったのも事実かな。とにかく映画サークルみたいな感じで、上手くいけば「良かったね」、あるいは「今回は赤字だね、どうしようか」なんていう感じだったみたいですよ。

    角田 うん、それよく解りますよ。

    由布 私は編集者として新聞の発行をしていたんですが、その時に知り合って最初は広報の協力をしていました。そんな中で誘われて入ったんです。

    角田 現在は経営状態も安定しているんですね。

    由布 やはり持続可能な団体にしないといけないんじゃないかということで、いろいろと組織改革もしました。その結果、ここ何年かは黒字になっています。

    角田 現在、定期的な上映会は芸術劇場と埼玉会館ですよね。この映画を見ようと思ったら観覧料を払って観に行くということですよね。つまり赤字になるか黒字になるかはお客さんが来てくれたかどうかにかかっているわけですね。

    由布 そうですね。

    角田 入場料収入以外にはないんですか。

    由布 寄付などもありますが、微々たるものです。

    角田 お客さんが入ってくれないと話にならない。

    由布 そうです。こちらは配給先にフィルム代を支払わなければならないですから。

    角田 そりゃそうですね。

    由布 宣伝用の印刷物を作ったりして観客動員の努力もしています。

    角田 これを作るのだって費用がかかるしね。観覧料はどのくらいに設定していますか。

    由布 一般が1100円、小中高生が550円です。

    角田 普通の商業映画館と比較すると安価ですよね。ところで、昔と比較して映画館の数は減っているんですか。

    由布 映画館が減少していると思われている方もいらっしゃるようですが、実際はそんなに減っていないんです。今は単館ではなく、シネコンといわれる複合館が増えているんですね。全体の8割はこれです。

    角田 私達が子どもの頃にはシネコンなんてなくて、単館の映画館があちこちにありましたね。父に連れて行かれて、よく時代劇や西部劇を観に行った記憶があります。いつも混んでいましたね。座れない事なんて当たり前でした。その点、今のシネコンは確実に座れます。いい時代になったものですね。

    由布 単館は県内でも数カ所になってしまいました。昔はどこの街にも必ず数カ所の映画館があった。浦和や大宮にもいくつもありましたよね。ですから、いつでも自分たちの街で映画を見ることができたんです。

    角田 それが、今は車などを使ってシネコンまで行かないといけない。

    由布 そこでね、自分たちの街で気軽に上質な世界中の映画を観てもらおうということで、この活動をしているんです。うちの団体でも苦労しているのは選定部です。

    角田 選定については何を基準に選ぶんですか。

    由布 基本的に、シネコンにはかからないものです。都内の名画座のようなところでかかっているような貴重な作品が多いです。しかしそのようなところで上映している映画は上映期間が短いので見逃してしまったファンもいるんです。

  •  角田 主に新作映画ですか。

    由布 私達は映画館を持っていない非劇場です。映画界のルールで言えば、1番館というのは劇場を持っているところです。さらに2番館と言って1番館が終わった後でやるところがあります。私達はその下の3番館という立ち位置なので新作とは言っても遅れてきます。

  • 角田 3番目とは言っても新作は新作ですよね。そうじゃなくて、例えば昔好評を得た名画のようなものをリバイバルで上映する事はないんですか。

    由布 それもやってます。でも思ったほどお客さんが入ってくれないんですよ。ですからこれに関しては試行錯誤をしています。

    角田 私も高校時代から大学時代には主に洋画でしたけど、美しい映画や、感動的な映画をよく観ていました。でも最近シネコンにかかっているような映画は恐怖、オカルト、戦い、暴力的なものをテーマにしたものが多いように感じるんです。素晴らしい名画が少ないように思いますが…。

    由布 良い映画が全くないわけではないと思いますが、シネコンにはスクリーンがたくさんあるので、お客さんの入り具合によって上映期間が短くなったり、時間帯がよくないところに追いやられるというようなことがあって、そんなふうに感じる部分もあるんじゃないですかね。でも、私達の場合、お客さんの入り具合が悪くても、どうにもなりません。大雪とか台風とかは本当に怖いですよ(笑)。

    角田 映画を選定する時に「これはいけるぞ」と思って上映したのにコケたなんていうこともあるんでしょうね。

    由布 いやぁ、それ、よくあります。そんなときは何でだろうって思うんですが、逆に、考えていた目標値を大幅に上回るなんていうこともあります。

    角田 組織の中には選定部会の他にも何か専門部会があるんですか。

    由布 昔はサークル的にワイワイやっていれば良かった時代もありましたが、法人となってからは、きちんと組織的にやろうと言うことで、選定部会が映画を選びます。その後、広報部会にまわって、様々な広報活動を行います。さらに上映部会があります。そのほかより深く映画を理解してもらおうと言うことで映画が終わった後で交流部会が、アフターイベントとしてゲストを呼んだりもしています。

    角田 ほう…、なかなかの活動ですね。

    由布 アフターイベントも3つに分かれていまして、1つ目は映画の監督や脚本家、プロデューサーなどの関係者を呼んで作品にまつわる話をしてもらう場合です。2つ目は民俗や政治など難しいテーマの映画の場合に大学教授などを専門家を招きます。そして3つ目はアフターライブと言って、その映画と同じテーマなどのミュージシャンや芸術家に来てもらうなどです。

    角田 ライブもいいですね。

    由布 昨年、沖縄関係の映画をやったんですが、映画の中で三線の音楽が流れていたんです。そこで沖縄の三線の先生や関係者に来てもらって三線のライブを行いました。これは大変な盛り上がりを見せましたね。

    角田 ところで彩の国さいたま芸術劇場と埼玉会館では違う作品を上映するんですか。

    由布 はい、客層も違うので、まったく違う作品になりますね。

    角田 どのように違いますか。

    由布 まだはっきりとつかみ切れてはいないんですが、彩の国さいたま芸術劇場はもう長いことやっていますから客層では銀嶺ホールとか岩波ホール、渋谷文化村などでかかっていたようなものに定着してきました。埼玉会館は去年話題になった「カメラを止めるな」や、「日々是好日」、「万引き家族」などを上映しました。

    角田 なるほど、かなり知られた映画も上映しているんですね。

    由布 身近な自分たちの街に映画館があって、気軽に映画を観られるというのが大切で、誰かと一緒に映画を観たり、観終わった後に感想を話し合ったりという楽しみもあると思うんです。そのような交流の機会も作っていますし、大切なのは街作りも視野に入れていきたいですね。そのためにも地元のお店などで観終わった後に食事をしながら話題にできるといいと思います。それが街の活性化になるんですが、彩の国さいたま芸術劇場の周りはまだお店などが少ないですね。だから、このような機会があるというのが街の豊かさにつながると思っています。

    角田 その通りだと思います。自立都市としてはその街で全てをまかなうことができないといけないですね。大事なことだと思います。さて、ここにスタンプカードというのがありますが、これは何ですか。

    由布 毎回見に来て頂くとその映画のタイトルのスタンプを押していきます。で、10個たまると1回無料で映画を観ることができるんです。

    角田 カードは観に行けばもらえるんですか。

    由布 はい。彩の国さいたま芸術劇場と埼玉会館と、両方で使えます。

    角田 最後に今後の上映予定を教えて下さい。

    由布 まず、彩の国さいたま芸術劇場ですが、ここでは「12か月の未来図」を1月15日(水)~19日(日)まで、「こどもしょくどう」を2月12日(水)~16日(日)まで、「僕たちは希望という名の列車に乗った」を3月11日(水)~15日(日)まで、「ニューヨーク公共図書館」を4月1日(水)~5日(日)まで、「存在のない子供たち」を5月27日(水)~31日(日)まで上映します。時間は10時30分と、14時30分の2回上映ですが、土曜日には18時からの3回目があります。

      埼玉会館では「ねことじいちゃん」を1月8日(水)~9日(木)まで、「ピアソラ」を2月27日(木)~28日(金)まで上映します。時間は10時30分、14時30分、18時30分の3回です。

    角田 アフターイベントはどの映画にありますか。

    由布 彩の国さいたま芸術劇場では2月16日、3月15日、5月31日の14時30分の回終了後にあります。また埼玉会館では2月28日の14時30分の回終了後に予定しています。

    角田 とても楽しそうですね。問合せはどちらにしたらいいですか。

    由布 電話は080(1368)7399。メールはinfo@eiganetwork.or.jpです。またホームページを見て頂ければ詳細が載っています。URLはhttps://www.eiganetwork.or.jp/です。

    角田 なるほど、ありがとうございました。